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ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバーゴールデンスランバー
(2012/07/01)
伊坂幸太郎

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平成19年っていつでしたっけ。いちいち和暦変換で検索するのがめんどくさい。元号は非効率なので官公庁は西暦か、西暦がだめなら皇紀を使うべきだとだれかが言ってましたが全面的に賛成です。安倍さん皇紀にしてください。

安倍首相と言えば、第一期のときに松岡農相が自殺しました。ほんと自殺なんですかねえ。到底信じられないが、後追い記事も出ないまま十年近くが経ちました。

おかしいよね。

本書が出版されたのは皇紀2667年。ちなみに西暦では2007年です。ちょうど第一次安倍内閣のころだね。やっぱそういう時代の雰囲気ってのが絶対ありますよ。あとがきにはケネディ暗殺を下敷きにしたフィクションだってわざわざ書いてありますけどね。当然現代日本の風潮が影響を与えてないわけがない。

構成を見ると、冒頭でいきなり二十年後から振り返った事件の様相が描かれるんだが、関係者が次々怪死して犯人も不明であるという。プロットの死というやつですね。少し説明すると、通常はプロットの展開によって読者の関心を引きつけるわけなんだし、それが常套の技法なんだが、先に結末を言っちゃうと、プロットの展開が無効になってしまう。つまりネタバレってことなんですけどね。だからそれをあえて使うというのは、そういう高度な――いや、高度と言っちゃうとまた語弊があると思うんだけどね。それぞれの技法があるだけで別に高低はない。ないけれども初心者が使うのは難しい。作家側から見て難易度の高い技法だね。

その上、本編に入ると時間軸がぐちゃぐちゃに錯綜している。時間軸を一本にするのも基本的な技法で、時間軸にそって順にモチーフを並べていくことでモチーフ同士に因果関係(そのものではなくその)感じを醸し出し、もって一つの大きな物語を読者に体感せしめることが可能になるんだね。この基本技法もあっさり捨て去っている。

伊坂幸太郎は手練の工芸家のような緻密な作家ですな。

朝野は、首相謀殺と濡衣を着せられた孤独な主人公ってとこから、24 twenty four みたいなスリラーをなんとなく予想していたが、全く違っていた。アクションシーンはとっても少ない。センチメンタルな主人公の独白や友人の思い出や、見知らぬ人のちょっとした善意が繰り返し描かれていく。これはね。主人公が凡人だということがありますね。ジャック・バウアーと真逆。でも同じように巨悪と戦う。だから周りの人がちょっとずつ助けてあげなきゃすぐ死んじゃって話が終わっちゃうんだよね。だから主人公のキャラはリアリティあるんだけど全然知らない人にすごい助けてもらう奇跡がずっと起こり続けて、そこはとってもファンタジーなんだね。

シチューに例えると、アクション部分のお肉はちょっぴりで、野菜たっぷり。でもあったかいんだから~みたいな。

こんなに明らかにファンタジックなフィクションなのに、わざわざあとがきに、「この物語はあくまでも作り話です」なんて、いちいち書き込むか、常考。

これはね、どういうことかというとね、才能ある作家は時代の先を鋭く読むことができるんだね。だからもう十年後の今を見通して書いてあるわけですよ。本書の主人公がそうであるように、巨悪に足を掬われないように、あえてケネディの話ですよーとすっとぼけてるわけ。読めば現代日本の暗喩であることははっきりしてるのに。つまり本書のテーマは、「I'M NOT ABE」ですよ。まちがいない。

未読の人は今すぐ読め。すでに読んだ人は再読!




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ミステリ/エンタメ | 【2015-04-11(Sat) 08:57:49】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
晴れた日は謎を追って がまくら市事件

晴れた日は謎を追って がまくら市事件 (創元推理文庫)晴れた日は謎を追って がまくら市事件 (創元推理文庫)
(2014/12/22)
伊坂 幸太郎、大山 誠一郎 他

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企画がおもしろかったので思わずワンクリックで買ってしまいました。本屋で手にとっていたら迷った末に買わなかったかもしれません。アマゾンが本の売上にに貢献しているのは間違いありません。見開きの本は両手で持たなきゃならないが、kindleは片手で読める。絶対こっちのほうが読み易い。

電子書籍元年はいつか? 私はまったくアーリーアダプターではないので、そんな私がkindleを購入した2015年がいよいよ元年かもね。だってほんの数年前、kindleの解像度は800×600で、英字はそれで問題なくても、かな漢字はギザギザが目立って買う気がしなかったもの。それに、kindle本でどれくらい出ているかと思って試しに「戦争と平和」で検索したら去年までなかった。まだまだこれからですよ。そして始まったからはもう後戻りできませんよ。

【弓投げの崖を見てはいけない】叙述トリックに感心。文章もうまい。ラストがわかりづらかったのは、個人的にはめんどくさいという感じが先立った。
【浜田青年ホントスカ】タイトルからしておかしい。ラストの登場人物の自殺願望も笑って済ませればいいんですよね?
【不可能犯罪係自身の事件】タイトルも文体もストーリーも小説の体をなしてない。こんなものを採用する編集者の気が知れない。
【大黒天】ほかはけれん味たっぷりというかけれんを引いたら何も残らないような作品ばかりなのに、なぜかこの一編のみ普通なライトミステリ。そこが一番の謎。
【Gカップ・フェイント】ラストにバカミスを持ってくるのって流行ってるんでしょうか。





ミステリ/エンタメ | 【2015-04-05(Sun) 00:56:44】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
雀蜂

雀蜂 (角川ホラー文庫)雀蜂 (角川ホラー文庫)
(2013/10/25)
貴志 祐介

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さて、アマゾンの低評価レビューに驚いていくつか読んだあとで本書をダウンロード。読み始めると冒頭からおもしろい。ところが変な先入観で読み始めてしまって、ここまではおもしろいが、あれだけレビューの評価が低いってことは、これからまさかのつまらない展開になるのだろうか、などと思いながら読み進め、冒頭を読み終えた時点でもおもしろい、中盤に入ってもおもしろい、クライマックスもおもしろい、とうとうラストの一行まで読み終えて、最後まで普通におもしろかった。

逆に読後拍子抜けしてしまいました。先にレビューを読まなければ、あんな的外れなレビューがなければ、ふつうに楽しめていたのに、バカレビューアーのチラ裏糞レビューのせいで十分楽しめなかった。

作家が読者を糞呼ばわりしたら、天に唾することになるし、そんなプロ作家は存在しませんが、一読者として、

死ねよ、糞レビュアー!

と言いたくなります。言いませんけどね。文章の後ろに「言いませんけど」と付け加えれば文章全体の論旨として言わなかっとことになります。それが論理的文章の読解というものです。おもしろいですね。

よく見返すと、星4つ以上のレビューが21もあるんですね。感想数が増えると、そりゃあ、いろんな読者がいますから、評価が拡散して、結局何がなんだかわからなくなっていくだけなんじゃないでしょうか。ネット情報のエントロピーを増大させるだけの糞レビューアーどもは全員死ねばいいし、同時に、無制限に糞感想を受け入れるアマゾンの方針に強い疑念を禁じ得ない。

気を取り直して、独自の感想を言えば、短いですね。もっと長々楽しみたかったです。kindleで読んだので、ページ数をアマゾンのウェブサイトでいちいち確認する必要があるのですが、ダークゾーンの上巻だけで「文庫: 336ページ」だったのが、雀蜂はわずかに「文庫: 236ページ」。しかし短い分構成分析が楽になるので、いずれ時間をとって徹底的に分析してみたいです。

それからやっぱり今回もいわゆるハリウッド的ハッピーエンドと無縁の結末でした。本書では、ハッピーエンドについて皮肉っぽく主人公に独白させています。

読者は、常にハッピーエンドを求めているんだろう? 善人は何とか苦難を乗り切り、悪人はシビアに罰せられる。そうでないと、読み終わってカタルシスを感じられないし……


なるほど、電書だと引用部のページ数を記載できないですね。しかし、キーワードで検索するなりリンクを貼ればいいのだから、すべてが電書に置き換われば引用部のページ数を記載する習慣も消滅するはずですが。

さて、貴志祐介先生のハッピーエンド嫌いにも困ったものですね。まるで読者が、登場人物の苦難を高見の見物して、カタルシスの果実のみを求めるかのようにおっしゃってますが、そんなことはないんですよ。読者は登場人物と苦楽を共にし、感情移入した登場人物が苦しむときは自分もまた同じく苦しむ生きものなのです。だからこそ、あきらかに架空の登場人物のハッピーエンドを自分自身の体験のように喜ぶことができるのだし、喜ぶ権利を持っているのです。

これは心理学的にも脳神経科学的にも証明されている科学的事実です。どこで読んだか失念しましたが、最近の研究によると、読書の結果、脳神経のシナプスの結合状況が行動の結果獲得した変化と同じように物理的に変化するそうです。

次に悪の教典を読む予定ですが、あえてハッピーエンドを信じて読むことにします。



ミステリ/エンタメ | 【2015-03-18(Wed) 21:11:49】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
鍵のかかった部屋

鍵のかかった部屋鍵のかかった部屋
(2012/09/01)
貴志 祐介

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三島由紀夫の短編とは無関係ですか、そうですか。そうすると、ずいぶん直球なタイトルですね。ストーリーも直球で、密室の説明とトリックの解明が文章の九割方を占めてます。

なんか、ためしてガッテンみたいですよね。確かにためしてガッテンはおもしろいし、伊集院光のモノマネもおもしろいけど、一般にドラマが必要な小説でそれをやるってのが、まったく想像だにできませんでした。

なるほど、チャレンジングな作劇ですね。ドラマがない代わりに、設定は詳細に考えられているようです。探偵役の防犯コンサルタントの榎本の才能に対して、相棒の女弁護士の青砥は一目も二目もおいており、彼女に対して榎本は常にクールに振舞っているのですが、その内面は第一作の硝子のハンマーで描写されており、才色兼備の美女である青砥にコンプレックスを抱いています。一方、青砥はドジっ子キャラ属性があって、次々迷推理を披露して積極的にワトソン役を引き受けます。

硝子のハンマーの構成は四つの署名によく似ていて、私見では、四つの署名はまだそれまでの冒険小説の構成を引きずっており、その尻尾をすっかり切り捨てたその後のホームズの諸短編が近代的推理小説の直系の先祖であると考えています。

だとすると、硝子のハンマーは先祖帰りなのか。そう言いたい気持ちは少しあるものの、その後のミステリーの大進化を考えると、そんなふうに単純化することはさすがにはばかられます。

その後の狐火の家、そして本作もまた、ミステリの伝統の踏襲の内側にとどまるのではなく、それを打ち破り、新しい道を切り開こうとする意欲的作品群であると思います。

狐火の家の犬のみぞ知るを読んだとき、最後まで読み終わったあとで、ようやくユーモア小説であることに気づきました。朝野は自分で思ってるほどはおもしろい男ではなくて、案外ユーモアに理解のない朴念仁なのかもしれませんが、それを差し引いても、それまでシリアスな作品が続いたあとで最終話においたのだから、冒頭にベタなギャグを入れておいてくれたらずっとわかりやすかったのに、そこがおしいな、と思いました。

今回の最終話は、前作で心の準備ができていた上に、冒頭からギャグが入っていたので大いに楽しめました。三編目までを読み終わった時点では星4つでしたが、最後に大笑いさせてもらったので、星5つとします。

蛇足ながら、3年前にテレビドラマ化されてたんですね。知らなかったけど、先日某所に中国語字幕付きのものが落ちていたので見ました。おもしろかったです。トリックは原作通りで映像で丁寧に説明されていたので復習になりました。トリック以外はかなり脚色されてましたが、概ねテレビドラマ化のための好ましい改善であったと思います。





ミステリ/エンタメ | 【2015-03-14(Sat) 02:53:04】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
黒蜥蜴

黒蜥蜴 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)黒蜥蜴 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
(1993/05)
江戸川 乱歩

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随分前に古本屋で買ったやつ。ようやく読みました。冒頭、盗賊の女首領が、手下の前で全裸で踊りまくるというシーンがあって、こんな女が上司だったら嫌だな、と思ってしまってそこで中断してたんですね。

でもそれは重要ではなくて、またこの女盗賊の性的嗜好もちょっとついていけないんですけれども、それもまた個人の自由ということで目をつぶりまして、読み進めていくと、名探偵と怪盗の丁々発止の対決がテンポよく描かれていて、こういう作品って、日本では貴重なんじゃないかなあ。

古典ですね。名著です。貴重ということも含めて金字塔だな。

昔、天知茂がテレビシリーズでやってたよね。テレビ向きだと思う、リメイクすればいいのに。そう言えば大昔に読んだ黄金仮面もこんな感じでおもしろかったなあ。再読したくなった。

お薦めです。





ミステリ/エンタメ | 【2013-04-07(Sun) 09:34:58】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
予言

予言予言
(2012/10/04)
久生 十蘭

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映画『スペル』(原題:Drag Me to Hell)思い出した。ほぼそのまんま、邪な犯人に逆恨みされ呪いをかけられるというストーリー。こんなに短くシンプルに語られると、だからなに、とちょっと思いかけますが昔の作品なんでね。アイデアの一つとして踏まえといていいんじゃないかと。

ていうか、こんなアイデアの素材が無料でがんがんに手に入る時代なんだね。今10歳で、お正月に親からkindlePWプレゼントされた少年全国で今現在何人いるかしらないけど、君が未来のベストセラー作家だ!

こういうね。土壌がね。できたってことですよ。すばらしいね。ほんとすばらしいと思うべきだよ。モーツアルトやベートベンが続々生まれる音楽環境が当時のどこだっけど忘れしましたけれど中欧のね。そういうのと同じでね。未来が楽しみで仕方ない。君に会うため、おじさんはせいぜい長生きしようと思うぞ!


ミステリ/エンタメ | 【2013-01-02(Wed) 21:58:43】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
マレー俳優の死[掌編]

マレー俳優の死マレー俳優の死
(2012/09/13)
岡本 綺堂

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昔むかし、朝ナマテレビに渡部昇一が出演したとき、サブ司会の美里美寿々が、なにが気に障ったのやら、あなたはメガネをとってチョビ髭をつけたらヒットラーそっくりだ、と突然脈絡なく発言してましたけどね。渡部昇一先生にもヒットラーにも失礼な発言でげすなどうも。七三分けの中肉中背の中年男子すべてにあてはまりそうなねこの。女の癇気というものは……おっとこれ以上言うと唇寒しってやつですかな。別段、渡部昇一の右スタンスにかぶれてるわけでもないのでご容赦いただきたいンですけれども。
とまれ渡部昇一先生が半七捕物帳のファンでらっしゃるという、それがアマゾンでタダで読める時代が来たっていうね。青空でも読めますけれども青空でなくてアマゾンならではの1クリックでスマホ。これは読みますね、はい、順次レビューいたしますです。
そんな岡本綺堂は、このような旅情あふるる異国奇譚の掌編も書いていたという一席でございます。


ミステリ/エンタメ | 【2012-12-11(Tue) 07:48:50】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
電気風呂の怪死事件

電気風呂の怪死事件電気風呂の怪死事件
(2012/09/27)
海野 十三

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アッハッハ!
バカ小説だね。
冒頭は怪奇で結末はエロ。
間にある探偵役の刑事が推理しない。
一番怪しそうな容疑者を捕まえたらそいつが犯人だった!

こういうのはやったもん勝ちだよなー。昭和初期の日本。西洋の最新事情にアンテナはって、それでなに書いたって新鮮だよね。冒頭は怪奇で結末はエロなのは、そこが肝心だと作者が思ったからなんだろう。それが時代を下りまくって青空文庫に再録されて21世紀のインターネットに名を残す。幸せな作家人生じゃないか。実際、新しい海外文学をどんどん吸収しつつ楽しく書いていた様子が伝わってくるようで、読んでて爽快だった。こういうものを礎として日本のエンタメが花開いていったんだから、ゆめゆめおろそかにするなかれ。

お薦め!


ミステリ/エンタメ | 【2012-11-25(Sun) 22:42:02】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
臨時列車の消失

臨時急行列車の紛失臨時急行列車の紛失
(2012/09/13)
Arthur Conan Doyle

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大悪党の告白の体裁をとって描く小気味良い短編スリラー。こういうのがちゃんと古典としてあるって幸せだなあ。昔は本を読むこと自体が大変なことだった。平安時代とか、源氏物語の巻物をロウソクの明かりでわくわくして読んでいた、あのころのあの感じを忘れちゃいけないね。それだって当時は貴族の子女だけに許されていたことなんだ。そう考えると、今このとき、人類は読書について最高の到達点に立っているのだ。すごいなあ。

だって大悪党のイメージってね。やっぱそれが古典だからだね。それを下敷きにして楽しんでるんだね。海賊だってね。ワンピースの第一巻を読んで、あまりにお伽話ふうなのでちょっとついていけないかなと思っておじさんは読んでませんけどね。それにしたって今の小学生が海賊に抱くイメージというものは、そういう海賊奇譚の積み重ねがあってのことだからね。そういう歴史のね。

海賊だの怪盗だの忍者だの侍だのね。

いい時代だなあ。そう思わなきゃ罰当たるよね。

さあ、共にどんどん読んでいこうではないか、諸君!


ミステリ/エンタメ | 【2012-11-25(Sun) 03:06:54】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
見えざる人

見えざる人見えざる人
(2012/10/04)
ギルバート・キース チェスタートン

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有名な古典だそうだが、そうとは知らずに読んで、ラストはずっこけた。でも古典と言われれば確かに古典なんだろうなあ。必読の古典だね。

私が面白いと思ったのはいつもの通りプロットなんだけど、登場人物の造形がすべてラストのトリックに奉仕し従属してるんだね。つまりキャラから入る小説の書き方と真逆の書き方をしなければならない。だからミステリ作家って、職人的なイメージがして、ミステリを書かない作家は書かないんだね。書き方のストラテジーが真逆だから。

しかしてそこに気づけば書けるわけである。

以下ラストから順にネタバレしていくので注意されたいが――。

よろしいですか?

何人もの人間が見張っていた部屋で殺人が起こって、犯人も死体も消えてなくなったが、だれもが犯人の出入りを見なかったと証言した。

実は犯人は郵便配達員の格好をしていたので、だれも彼を犯人と思わずその出入りを見逃してしまっていたのだった。犯人は郵便鞄に被害者の遺体を入れて運びだした。だから犯人は郵便配達員の格好をしても不自然でない背格好の男でなければならず、被害者は郵便鞄に入るほどに子供のように小柄でなければならない。

以上の結末が決まったあとで、普通の背丈の男が、子供もしくは子供くらいに小柄な男を殺す動機を考える。男同士となれば、二人は恋敵だったと思いつく。同じ一人の女性に恋した。だが、どうやってそんな設定が可能になるのか。次にそこを考えればよいと決まる。

犯人はひどい醜男で、被害者は子供のように小柄だった。しかもふたりとも貧乏。女性は二人からプロポーズされるが断る。ところが小柄な被害者は頭が良かった。いろいろな発明をして大金持ちになって、再び女性にプロポーズしようとするが、醜男は嫉妬から、プロポーズしたら殺すと脅す。

冒頭は、その女性がまったく別の卑しからぬ資産家の男からプロポーズされるところから始めよう。女性は、過去に二人の男からプロポーズされた話を男に聞かせる。そして今も醜男に付きまとわれている気がすると話す。やがて小柄な男のほうが女に会いにくるが、その直後に自宅で殺害される。

読者は一体なんの話だろうと興味を持って読み進めるが、なんとなれば、作者の自然な連想を逆回しで見ているために、イメージの自然な連なりがまったくないままラストまで読み進め、意外の感に打たれるわけである。これぞすべからく後ろから考えるミステリがミステリとして屹立すべき理由である。そして読者はみなこのような結末の読めない作品を生んだ作者を賞賛するが、なに、作者は連想の自然な連なりのままに話を作っていて、ただそれを作り終えたあとに逆回しにするというのが、この手品のタネである。




ミステリ/エンタメ | 【2012-11-21(Wed) 21:56:18】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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