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夜市
夜市 (角川ホラー文庫)夜市 (角川ホラー文庫)
(2008/05/24)
恒川 光太郎

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民俗学について何の知識もないのですが。
解説に「遠野物語」の名があって、柳田國男の名前だけは聞いたことがありますが、どういうものなのかまったく無知です。
でもなんかそういう背景知識があったらさらに楽しめるのだろうなあ。

とにかく、おもしろかったですよ。
世評が高いのも納得できました。

「夜市」に加えて、もう一編、「風の古道」が収録されています。プロット的には、冒頭で伏線があってラストが回収され、オルタナティブなストーリーが現れるという常道、定石に従ったきっちりした構成でした。


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SF/ファンタジー/ホラー | 【2009-03-08(Sun) 23:48:31】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
グラスホッパー
グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー (角川文庫)
(2007/06)
伊坂 幸太郎

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主要登場人物である三名が三名とも、血も涙もない殺し屋なんですよ。
いくら魅力的に描かれていても、所詮、人殺しだろ、という気持ちが抜けなくて、どいつもこいつも。

よく知らないんですが、ハードボイルドの系譜を引いてるんですかね。ピカレスクとかノワールとかいう言葉も聞いたことはあるが、そっち系、読んだことはないんですね。けれども、そういう系統の小説もおもしろそうだな、グラスホッパーを読みながらそう思いました。

とても読みやすくて、一気に読んでしまったところも高評価。

2010/07/10

先日、伊坂幸太郎のグラスホッパーを読んだ。出だし、語り手の男が妻を殺された復讐のためヤクザな企業に潜入し、犯人であるそこの社長を殺そうと付けねらっている。そうすると、そんな展開の映画山ほど見たなあという気がしてくるわけである。最愛の妻とか恋人を殺されたり誘拐されたりして、立ち上がるヒーロー。敵を倒し、家族を救出するか、死んでる場合は新しい伴侶を得てハッピーエンド。

ところが、グラスホッパーでは、冒頭、その犯人が語り手の目の前であっさり車に引かれて死んでしまう。えーっ。伊坂さん、プロット、これからどうすんの? と思った。そして読み終えて、なるほど、なんかうろこが落ちた。

そうだ、小説は自由に書いていいんじゃなくて、自由に書かなければならないんだ。使い古しのモチーフやプロットは使わないんじゃなくて、使って、どんどん使い捨てていけばいいんだ。


ミステリ/エンタメ | 【2009-03-07(Sat) 23:08:48】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
カインの娘たち
カインの娘たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)カインの娘たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2000/12)
コリン デクスター

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口先でなんと言おうと、男はけばい化粧が好きなんである。
いわゆる水商売のひとたちがけばい化粧をするのは、そのほうがメリットがあるからである。
事実に徹して論理的に考えれば、大多数の男はけばい化粧大好きという結論以外ないんである。

ところでモース警部、いくつなんだ? 知らないけど、立ったままズボンが履けなくなって、老いを感じてる描写からすると、そうとう老人である。

で、結末をばらしちゃうけど、結局、十代か二十代くらいのけばい化粧の娼婦が老人モースに一目惚れして、とてもよい縁談を断ってしまって、モースにコクってその後、なぜか行方不明。モースは彼女を探すことを決意する。

すごいなあ。
シャーロック・ホームズ以来のロマンスの血脈を継承するイギリスの水戸黄門、ほのぼのミステリの名作。

だらだら読んできたモース警部シリーズも残りわずかだ。
寂しいです。

ミステリ/エンタメ | 【2009-03-06(Fri) 23:47:54】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
マリオネットの罠
マリオネットの罠 (文春文庫)マリオネットの罠 (文春文庫)
(2006/11)
赤川 次郎

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作家の可能性のすべてが処女作に表れてるだったかな。なんかそんなことを小耳に挟んだので、元祖・日本の page-turner 赤川次郎の処女長編を読んでみました。

ハンサムな青年に寄り添って話を始めながら、途中で彼が行方不明になり、それまでさして目立たなかった彼のフィアンセが、スパイ小説もどきの活躍をし始める。全裸の美女、端役の男があっさり殺される映画的冒頭から、魅力的登場人物が紹介されるや否や次々殺されていく非情な展開。中盤で犯人らしき人物の心理描写が入って、倒叙形式かと思わせつつ意表を突くラストの大どんでん返し。

文句のつけようのない完璧な処女作です。

赤川次郎って、ユーモア・ミステリーって冠がつくことが多いけど、凄惨な連続殺人の合間にオヤジギャグが挟まってて、どう受け止めていいか迷ってしまう感じがあったんですよ。

おそらく、赤川次郎は、古今のミステリやサスペンスを読み込んでいて、検死官が死体を見ても落ち着いているように、凄惨な殺人の数々を、小説をおもしろくするためのギミックとしてしか見てないんじゃないか、だから凄惨な殺人と軽い冗談の間に齟齬を感じないのではないか、と気づきました。
また、トリックについて、一部本格派ミステリ作家にみられるような形式へのこだわりはあまりなくて、おもしろけりゃいいじゃん、おもしろくなきゃだめじゃん、という厳しい基準に徹して、ストイックにそれを追求しているようだと感じました。

合間にオヤジギャグが入るのは、単にオヤジだからでしょう。

ミステリ/エンタメ | 【2009-03-05(Thu) 23:10:05】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
新世界より
新世界より 上新世界より 上
(2008/01/24)
貴志 祐介

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新世界より 下新世界より 下
(2008/01/24)
貴志 祐介

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貴志祐介先生。
これから、先生と呼ばせていただきます。
とにかくこの人は、ページをめくらせる力が強い。クリムゾンのときも天使のときも、夜更かしして一度に読んでしまい、生活に支障が出たので、今度こそ少しずつ読もうと思ったのですがダメでした。毎晩睡眠時間を削って三日で読了。休日に読んだら丸一日潰して読みきっていたことでしょう。貴志祐介は体に悪い。

これだけの長編を一人称で貫き通したところが、男前だねえ。
三人称でないと、普通は書けないと思う。けれども、一人称が持つ臨場感を重視して、いろいろな書けるはずだった冒険を潔くはしょって、文字通り page-turner に徹した傑作を書き上げた。

バンザイです。

最後の一行については、1000年後の東京の様子を見るに、ホラーな意味合いのように感じられました。

SF/ファンタジー/ホラー | 【2009-03-05(Thu) 11:56:19】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
火星のタイムスリップ
火星のタイム・スリップ (ハヤカワ文庫 SF 396)火星のタイム・スリップ (ハヤカワ文庫 SF 396)
(1980/06)
フィリップ K.ディック

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この小説のメインプロットは、主人公ジャックが上司の女と浮気し、妻のシルビアはセールスマンとゆきずりの関係を結ぶが、最後には二人は元の鞘におさまる、という話です。二人にはかわいい一人息子がいて、父親がやってきて、ジャックに妻と別れないよう諭します。ついでに、ジャックの上役は悪いやつで、最後に懲らしめられ、妻の浮気相手のセールスマンは仕事を失います。

このみもふたもない三文メロドラマのようなメインプロットが大変わかりやすいので、荒唐無稽なSF設定や破綻すれすれの実験的構成がなんとか飲み込めるのでしょう。読者は、理解できるところを足場にして、そこから想像力を膨らませていくものだからです。

一方で、前衛的手法をふんだんに取り入れて新しさを追求し、もう一方では、ベタな設定を臆面もなく取り入れて、一般読者をひきつける、うまい手口ですね。

21世紀になって、いまさら初めて読んでみたのですが、この作品の私の評価は、大方の意見同様、傑作であると思います。

SF/ファンタジー/ホラー | 【2009-03-03(Tue) 23:54:32】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
レベッカ
レベッカ〈上〉 (新潮文庫)レベッカ〈上〉 (新潮文庫)
(2008/02)
ダフネ・デュ・モーリア

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レベッカ〈下〉 (新潮文庫)レベッカ〈下〉 (新潮文庫)
(2008/02)
ダフネ・デュ・モーリア

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私はこう思います――読者は、読書体験を通じて読書への態度を形作っていくでしょう。そのような読者の気を惹くため、作家は次々新しい手口を考え出していくでしょう。

たとえば、仏教説話とは、仏教の教えを物語形式で語ったものですが、物語に馴染んだ人々に受け入れられやすいように、それに合わせて作者が工夫を凝らしたということでしょう。あるいは、伝記ものが数多く出版され、一般的になっていた時代に、伝記ものを装ってロビンソン・クルーソーが出版されました。

作者が、読者を楽しませるためにいろいろ工夫すると、読者もそれに合わせて読書態度を変化させていきます。うら若きヒロインが登場すると、どうせハッピーエンドだろうと高を括ったり、身分卑しからぬ紳士が登場すると、ははあ、こいつがヒロインと結婚するんだなとか、そうすると、そのような読者の「期待の地平」ってやつの裏をかく小説が出てきて、再び読者を驚かせ、楽しませてくれるわけですね。

そうやって、生物が進化していくように、小説の形式が変遷してきたのだと思います。

「レベッカ」の冒頭数頁は少し謎めいていますが、そのあとは、上巻丸まる甚だ退屈で、薄幸な小娘が、二まわりほども年上の大金持ちの貴族に見初められるまでの話がだらだら続きます。タカ&トシならば、「おまえはジェーン・オースティンか」とつっこむところでしょう。

しかしこの小説が出版された時代を考えますと、そのような恋愛ものがきっと人口に膾炙していて、読者も冒頭数頁でやや不安になったあとは、ハッピーエンドを信じて安心して読んでいったと思います。
ところが、上巻最終章から、この小説はスリラーの本性を表し始めます。

さきほど生物の進化になぞらえましたが、レベッカが、中盤で、恋愛小説の殻を破り、スリラー小説の形質を現す様子は、胎児が鰓をつけたり尻尾を生やしたりして系統発生を繰り返しながら、人間の赤ちゃんになっていくのにも似て、大変スリリングでした。

レベッカを、恋愛小説または教養小説として見ようとすると、主人公が一個の人間として成長したとは思えないし――作者はしきりとヒロインに、自分は大人になったと言わせているけれども――、レベッカも「わたし」も、立体的な人物として立ち上がってくるに至ってないと思います。たいていの女性には、レベッカと「わたし」が共存しているのではないでしょうか。レベッカと「わたし」は対になっていて、二人合わせてようやく一人前なのです。
怪しげに登場するダンヴァーズ夫人も、主人公の「わたし」を恐がらせるためだけの舞台装置に過ぎず、最後まで平面的な登場人物のまま終わっています。

しかしながら、これらはスリラー小説として見るならば、すべて完璧な造形と言えるでしょう。

だから私は言います――「レベッカ」は、スリラー精神に殉じた傑作です。

ミステリ/エンタメ | 【2009-03-03(Tue) 11:46:37】 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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