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リスを実装する


コンピュータの中に妖精はいない。高校の技術の授業で、トランジスタの構造を習ったが、今あるコンピュータはすべて小型化されたトランジスタの集積したものであって、当然のことながら、コンピュータの内部に謎めいた部分は一切ない。

しかし例えばマトリックス リローデッドに出てくる鍵屋さん。彼は裏口からマトリックスに侵入するためのキーパーソンなのだが、このマトリックスというのが、仮想現実を作っているコンピュータのことだ。なるほど、コンピュータ業界では、不正にコンピュータに侵入するために予め仕込んでおくプログラムのことをバックドアと言う。バックドアから不正に進入するためには、やはり予め仕込んでおいたキーワードが必要だ。

さてしかし、この映画で、鍵屋さんが登場したり、鍵屋さんが3D空間に並ぶドアのうちから、正しいバックドアを見つけて敵の本体に侵入するシーンは、なんの比喩なのだろうか?

ここで思い出すのが、かんべむさしの水素製造法だ。これ、なにげに読んで忘れていて、その何十年も後に繰り返し思い出す。ひょっとすると全国民必読の古典ではなかろうか。

就職試験で「水素ガスの製造法を述べよ」という設問が出て、たとえば、中学校で習う水の電気分解方法を書けば足りるわけだが、文系学生だった主人公はまったくわからない。試験中に利用できるのは国語辞書だけ。そこで主人公は、水素とかガスとか元素とかを辞書で引き、その言葉から連想される勝手な妄想を書き連ねていく。おおかた忘れてしまったが、爆笑ネタだった。

結局それと同じで、コンピューター業界のバックドアだとか暗号キーだとかの言葉だけを聞きかじってそこから勝手にイメージしたものを映像化してるようにしか見えないんだよね。でも、バックドアという言葉自体が比喩で、その実体は微塵の謎もないコンピュータ・プログラムなので、そんなものを作家の勘違いイメージで映像化されてもなんのワクワク感もない。

「リスを実装する」の実装もプログラミング用語で、クラスを定義するという意味だね。クラスの定義をやたら抽象化して説明する解説書が溢れているらしくて、それがちょうど、「バックドア」から本物のドアをイメージしてしまうマトリックス監督の妄想とそっくりで笑えるわけである。

特にどの本というわけではないのですが、どうしてこういう例え話が出てきてしまうのか、私にはさっぱり分かりません。クラスの概念を哲学用語か何かのように説明するのはいいかげんやめにしてほしいものです。だいたい、テレビ型やカラーテレビ型クラスを作るJavaプログラマがどれだけいるというのでしょう。しかも、第2回「Javaの変数の本質を知る」で指摘した「変数は箱だ」説同様、この手の例え話を信じると、プログラムがどのようにメモリを使うのかという視点が抜け落ちてしまいます。

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0303/08/news002.html


本書では、プログラミング的に見て特に間違った記述はない。なるほど、クラスの概念を哲学的に考えると、人間の実体と思われているものも一瞬のインスタンスであるように思えてくる。そしてこれはプログラミングの解説書ではなくて、文学であり、文学的イメージの跳躍のためにコンピュータ用語を援用しているのであり、上記引用部分の「いいかげんやめにしてほしい」ことの範疇外である。

さはさりながら、コンピュータ上の仮想現実のイメージを利用して、人の命の儚さを謳う技法は、すでに小松左京の短編に見られる。そしてこのテクニックは、多くの人が、コンピュータの内部にはなにか不思議なものがあるという迷信を共有していなければ成立しない。事実はそうではないので、そのように感じる人は今後ますます減っていくだろう。だからこのようなテクニックは完全に時代遅れだ。いいかげんやめにしてほしい。



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純文学・随筆/その他 | 【2015-07-04(Sat) 21:56:04】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
流れよわが涙、と警官は言った


はい、まいどー朝野十字でございます。またまた不条理ディックです。不条理不条理言いながら、文章はとっても読みやすいですね。翻訳の良さもあるのか、場面のイメージがすっと入ってきて、スラスラ読み進められます。で、読み終わった後、あんまりよくわかってないことに気づいて、そこをあれこれ考えることも読書の楽しみなのでしょうが、最近はなんでもすぐネットで調べて、Wikipediaの概要を読んでわかったつもりになるのが流行ってますね。いかがなものか。なんて思ってないです。ざっとググると、このページ。

「流れよ我が涙、と警官は言った」の結末
http://okwave.jp/qa/q6477917.html

わかりやすくまとまっていて、なるほど、そうだったのか。池上彰もびっくりですね。

冒頭から主人公然として登場するジェイスンは、マッドサイエンティストが自分の精子を使って作った遺伝子を改造した新人類で、普通の人間より優秀です。実際テレビスターとして大成功してる大金持ちです。でも共感能力が欠けていて、次々女をとっかえひっかえして捨てていく薄情な男で、しかもそれに対してまるで罪悪感を感じないのです。

一方途中から登場する警察本部長のフェリックスは、冷酷な男然として登場し、ラスト直前までその役を演じ続けます。この小説における警察は、相当にビッグブラザーで、盗聴でも暗殺でもして、あらゆる個人情報を収集し、大学を武力で弾圧し、反体制派を強制収容所送りにする恐ろしい存在です。

全世界に三千万人のファンを持つ人気テレビスターのジェイスンは、ある朝目が覚めると、誰も自分を覚えてないことに気づきます。親しい恋人でさえ自分を知らないと言うのです。しかも身分証明書もない。身分証明書がないことが警察に見つかると即座に強制収容所に送られるので、ジェイソンは必死で逃げます。

一方、これはビッグブラザーにとっても困った事態で、まったく個人情報が特定できないジェイソンを体制の敵とみなし、強制収容所に閉じ込めようと追いかけまわします。

そうすると、ほら、先行作品が思い浮かびますよね。古いところで恐縮ですが、知らない若い人はググればいいと思いますが、北北西に進路を取れ、とか。ちょっとちがうけど、要するに、自分が誰かとか、自分が当然と思っていたものが冒頭でひっくり返って、敵に追われてっていうスリラー。

冒頭を読むと、当然そんな話だろうと思うし、アマゾンの帯書きにもそう書かれてるので、そういうスリラーだと思うよね。実は前回の宇宙の眼も前々回のユービックも惹句を読むとそういう軽いノリのスリラーっぽいので読んでみたらちがってたという。

おれってそういう軽いノリのスリラーが好きなんだよね。そのような軽いノリの読者を騙して不条理世界に引きずり込む悪い男ですな、ディックは。でもまあ3回連続同じ手口で騙されたんだからしょうがない。

で、なにが言いたいかというと、前回の宇宙の眼はマーシャの美乳小説でしたが、今回登場するのは、ID偽造屋のキャサリン。見た目は16くらいで、オッパイは大したことないが脚が綺麗。でも実年齢は19歳で、映倫的にOKというギリギリ・ガール。最初はオッパイ大したことないと思ったジェイスンではあったが、だんだんに、なかなか美人じゃないかと思い直す。

昔々、光GENJIってアイドルグループいましたけど、元ネタは光源氏っていう平安時代に書かれた日本の古典小説の登場人物だって、知ってました? そうすると、ジェイスンも、光源氏みたいな遺伝子改造美男テレビスターなんですよ。だもんで、こう、若い子引っ掛け放題なんですね。で、結局キャサリンも食っちゃうという。

というわけで、前回の美乳小説に対して、今回は微乳小説と言えるでしょう。おっぱい星人ディック、お薦めです!




SF/ファンタジー/ホラー | 【2015-07-03(Fri) 22:37:07】 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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